令和5年3月17日
民間事業者がオンライン上で登記申請書類等の自動生成サービスを行うことについての会長声明
大分県司法書士会
会 長 胤 末 理恵子
令和5年2月21日(火)に開催された衆議院予算委員会第三分科会において、資格を持たない民間事業者が、オンライン上で相続登記申請書作成等のサービスを提供しており、司法書士法違反が疑われる事例が散見されることについての質疑が行われました。
これに対し、法務省民事局長から、「民間業者が、依頼者が入力していない情報を入力したり、依頼者が入力した情報を加工修正するなどして、その対応が民間事業者において依頼者に代わって登記申請書類を作成したと評価されるような」場合や「収集した戸籍の記載から、法律上の親族関係を読み取ったうえで民間事業者の判断で法定相続人を特定し、その判断を前提として登記申請書類を作成したような場合に、その対応が民間事業者において依頼者に代わって登記申請書類を作成したと評価されるような」場合、また「民間事業者側が個別具体的な事案を前提に、登記申請書類の作成に関する相談を受けて、回答したり助言したりして、その対応が民間事業者において登記申請書類の作成にあたって依頼者からの相談に応じたと評価されるような」場合には、司法書士法に違反するおそれがあるとの答弁がなされました。
資格を持たない者が、登記申請書類の作成や登記申請書類作成の相談に応じることは、司法書士法に違反し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる重大な違法行為です。当会としては、司法書士でない者が、司法書士法に違反して登記申請書類を作成していることが疑われる事案や、書類作成の相談が疑われる事案については、所要の調査を実施して厳正に対処してまいります。
司法書士は、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命としております。相続登記手続きにおいても、法律事務の専門家として適切な助言を行い、依頼者の権利擁護に努めております。
市民の皆様におかれましては、資格を持たない民間事業者による違法なサービスを利用しないよう十分にご注意ください。また、自治体の皆様におかれましては、オンライン上で登記申請書類等の自動生成サービスを提供する民間事業者の連携等については、法律上の観点から適切にご判断いただき、市民が違法なサービスを行うサイト等に誘導されることがないよう十分にご留意ください。
記事公開日:2023.04.03